寝不足と頭痛にはどのような関係がある?原因や対処法、予防法

寝不足が続くと頭がだんだん重くなっていきます。寝不足が深刻になってくると頭痛が生じるようになることもあります。睡眠は脳を休息させるためにとても重要です。睡眠不足になると脳がダメージを負い、アラートとして痛みや倦怠感を出すようになります。寝不足が続いて頭が痛い、その原因と対策を解説します。
1.睡眠不足と頭痛の関係
睡眠不足による頭痛は主に緊張型頭痛と偏頭痛に分けられます。それぞれどのような頭痛か見ていきましょう。
1-1.睡眠不足のときの頭痛は主に「緊張型頭痛」
緊張型頭痛は頭がギリギリと締め付けられるような痛みが続く頭痛です。およそ30分から数日程度持続することがあります。緊張型頭痛は睡眠不足以外の原因でも現れることがあり、頭痛の中で最も多いと言われています。緊張型頭痛は疲労やストレス、精神的な緊張により生じると考えられています。睡眠不足が続くと、脳がストレスを感じるため緊張型頭痛が起きやすくなります。
1-1-1.緊張型頭痛の主な原因
緊張型頭痛は主に筋肉の疲労が原因で生じると考えられています。頭や首筋から肩にかける筋肉がストレスによる血流の悪化で、老廃物が溜まり、それが原因で周囲の神経を刺激し痛みを発生させているとされています。
1-1-2.緊張型頭痛の悪循環
疲労やストレスによって緊張型頭痛が起こると、頭痛によるストレスでさらに筋肉のこわばりが生じるという悪循環が生じます。そのため放置すると頭痛がひどくなってくることもあります。
緊張型頭痛は頭の痛みだけではなく、肩こりや眼精疲労、全身倦怠感などを伴うこともあります。
1-2.睡眠不足で偏頭痛が起きることも
偏頭痛はこめかみにズキズキとした痛みが生じる頭痛です。片側のこめかみに頭痛が現れることが多いですが、稀に両側に生じることもあります。痛みの度合いは差が激しく、多少ズキズキとする程度から吐き気や嘔吐などを伴うほど強い痛みが生じることがあります。偏頭痛は男性よりも女性に多く、特に30代の女性に好発します。
1-2-1.偏頭痛のメカニズム
偏頭痛はストレスや疲労といったトリガーにより、脳の血管が拡張し、血管の周囲を取り巻く「三叉神経」を圧迫します。三叉神経は圧迫による刺激を受けると痛みの原因物質を放出して、血管に炎症を引き起こします。そうするとさらに血管は拡張し、三叉神経を圧迫します。
この刺激が大脳に伝わることで、偏頭痛の痛みが生じます。
1-2-2.偏頭痛は寝過ぎでも起きやすい
なお、偏頭痛は寝不足よりも寝過ぎたときに起きることが多いです。寝過ぎたときは副交感神経が優位になっているため、血管が拡張しやすくなっています。偏頭痛は血管が拡張することが原因で痛みが生じるため、寝過ぎたときに起こりやすくなります。しかし寝不足が続くことも、偏頭痛を誘引するということが分かっています。
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2.睡眠不足による頭痛の対処法
睡眠不足により頭が痛くなった時、一番の解決方法は睡眠を取ることです。しかしその状況でゆっくり眠れるとは限りません。睡眠不足による頭痛が疑われるときは以下の対処法を試してみましょう。
2-1.入浴をする
緊張型頭痛のときはストレスや緊張、疲労による筋肉のこわばりを軽減することが重要です。ゆっくりとお風呂に入って体を温め、血流をよくするようにするとよいでしょう。血流がよくなるとこわばった筋肉内の疲労物質や痛みの原因物質が流れやすくなります。
お風呂の温度は38度から40度程度、肩まで浸かるのではなくみぞおちあたりまで浸かって20分程度、という入浴方法がおすすめです。入浴を終えた後は水分補給を忘れないようにしましょう。
2-2.軽い運動

軽い運動をすることで、血流がよくなります。ウォーキングや疲れない程度のジョギングなどがおすすめです。日常的に有酸素運動をすることで、血流がよい状態が続き、緊張型頭痛を予防する効果も期待できます。ただし偏頭痛の場合は、体を動かすと痛みがひどくなることがあります。こめかみのあたりにズキズキとする痛みがあるときは運動を避けるようにしましょう。
2-3.痛い部分を冷やす
偏頭痛は血管が拡張することで痛みが生じます。患部を冷やすと血管が収縮して、痛みが軽減されることがあります。ズキズキとした痛みが始まったらぬれタオルや冷感シートなどで冷やすようにすると症状の軽減に効果的です。
2-4.暗く涼しいところで休む
偏頭痛の症状を悪化させる要因の一つに明るい場所があります。明るさが脳に刺激を与え、痛みを大きくしてしまいます。一度偏頭痛が始まったらなるべく暗く涼しい場所で休むようにしましょう。横になれるならなおよいです。
2-5.カフェインを摂取する
カフェインは血管を収縮させる働きがあります。偏頭痛の原因となっている拡張した血管を収縮して症状を軽減してくれる効果が期待できます。カフェインはコーヒーやお茶類に含まれています。なるべく氷で冷やしたものを飲んだ方が、症状の軽減に効果的です。
2-6.頭痛薬を服用する
緊張型頭痛でも偏頭痛でも頭痛薬に含まれている鎮痛成分で、症状を緩和させることができます。ただし、これで痛みが治まってもあくまで一時的なものです。緊張型頭痛も偏頭痛も慢性的に繰り返すことが多いので、どうしても痛みに困っているならば病院で治療を受けるようにしましょう。
3.睡眠不足による頭痛を予防するには

睡眠はしっかりと取らないといけないことは分かっていても忙しくて十分に睡眠時間を確保できないときもあります。いざ睡眠不足が続いてしまった時に、悩まないためにも日ごろから頭痛を予防することを意識することが大切です。以下のことを意識してみると、睡眠不足による頭痛を予防できることがあります。
3-1.日頃から筋肉をほぐす
睡眠不足で一番多い頭痛は緊張型頭痛です。緊張型頭痛は頭や首、肩周辺の筋肉がこわばることで生じるため、日ごろから筋肉をほぐすことで予防できます。デスクワークが続いて疲れたらほんの数分でいいので立ち上がってストレッチをしたり、日ごろから運動習慣をつけたりすることで筋肉をほぐすことができます。
3-2.頭が重い感じがしたらゆっくりと入浴をする
寝不足により頭が重い感じがしたら、気分転換も兼ねてゆっくりと入浴するようにしましょう。頭が重いのは脳が疲労を感じてるほか、頭の筋肉がこわばっているのが原因です。入浴をすることで、血流が良くなり筋肉に溜まった疲労物質が流れやすくなります。日ごろからシャワーではなく、湯船に浸かるようにすると筋肉はほぐれやすくなり緊張型頭痛を予防することができます。
3-3.寝不足を防ぐ
そもそもですが、寝不足を防ぐことが睡眠不足による頭痛を防ぐ何よりの方法です。繁忙期や受験期などで忙しくなっても、睡眠時間だけは確保するようにすることが大切です。頭痛を防げるほか、集中力や注意力の低下を防ぎ作業効率を高めることができます。人によって必要な睡眠時間は異なりますが、自分にとって適切な睡眠時間を把握して、きちんと眠るようにしましょう。
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4.まとめ
・睡眠不足による頭痛は頭や首、肩の筋肉のこわばりで起こる「緊張型頭痛」が多い
・偏頭痛は通常、寝過ぎたときに起きやすいが寝不足でも起きることがある
・緊張型頭痛が起きたときは入浴、運動、マッサージなどが症状を軽減するのに有効
・偏頭痛が起きたときは患部を冷やし、暗く涼しいところで安静にし、カフェインを摂取するのが有効
・睡眠不足による頭痛を防ぐためには日ごろから筋肉をほぐして、頭の重さを感じたらゆっくりと入浴をすること
・そもそも寝不足にならないことが一番重要
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