寝汗がすごい!過剰な寝汗の原因と対策

夜、寝ている最中に寝汗の気持ち悪さで起きてしまう、起床時に寝間着が汗でビショビショになっているなど寝ている間の汗がすごくなってしまう人がいます。汗の量というのは体格や筋肉量、室温などによっても左右されますが、寝間着がビショビショになってしまうくらいの量というのは何らかの異常があるのかもしれません。寝汗がすごくなってしまう原因とその対策を解説します。
1.なぜ汗をかく?
気温が高かったり、精神的に緊張したりすると自然と汗が出てきます。なぜ人は汗をかくのでしょうか?実は汗には2種類あります。この2種類はそれぞれ役割が異なっています。
1-1.二つの汗腺 エクリン腺とアポクリン腺
人には二つの汗腺があります。一つはエクリン腺という名前で、もう一つはアポクリン腺という名前です。
1-1-1.エクリン腺
エクリン腺は気温が高い時や体を動かしたときに出てくる汗を分泌します。エクリン腺から出てくる汗の役割は主に体温調整です。気温が高かったり、体を動かしたりすることで体温が高くなっていきます。体温の過剰な高まりを防ぐため、エクリン腺は汗を分泌して、蒸発させます。この時に気化熱(蒸発する際に熱を奪うこと)が発生し、体温を低下させてくれます。
エクリン腺の汗は比較的サラリとしています。汗そのものに臭いもほとんどありません。ただし、汗で濡れた衣服などを放置しておくと水分をもとに雑菌が増殖し、臭いの原因となります。
1-1-2.アポクリン腺
アポクリン腺はエクリン腺と比べると耳の裏や首筋、脇の下など限られた部位にしか分布していない汗腺です。アポクリン腺から分泌される汗がどのような役割をしているかは分かっていません。アポクリン腺からの汗は脂質やタンパク質などが多く含まれていて、粘土が高く、また表皮常在菌の働きで特有の臭い(いわゆるワキガ臭)がすることがあります。アポクリン腺の汗は寝汗とはあまり関係ありません。
2.なぜ寝汗をかく?
特に体を動かしているわけでもない就寝中になぜ汗をかくのでしょうか?人体が寝汗をかく理由には以下のものがあります。
2-1.眠りを深くするためには体温を下げる必要がある

人間の眠りはノンレム睡眠とレム睡眠に分けられます。ノンレム睡眠は脳が深く眠っている状態、レム睡眠は脳が起きている状態です。睡眠の質にはノンレム睡眠が大きく関わっており、熟睡感を得るためにはノンレム睡眠をより深いものにすることが重要です。
2-1-1.4段階のノンレム睡眠
ノンレム睡眠は眠りの深さに応じてステージが1~4に分けられます。睡眠を取り始めた当初はステージ1でごく浅い眠りとなります。その後5分程度でステージ2の睡眠になります。脳は休んでいる状態ですが、外部の刺激により簡単に起きてしまう状態がステージ2です。その後20分ほど経過すると眠りがより深くなりステージ3に突入します。ステージ3からの睡眠は深いものとなり、脳が眠っている状態となります。外部の刺激ではよほど強く起こされない限り、目が覚めることはありません。
ノンレム睡眠をステージ3以降の深いものにするためには体の内部の「深部体温」を下げる必要があります。夜間に体温が上がりすぎて、ノンレム睡眠を浅いものにしないために、就寝中に汗をかくと考えられています。
2-2.過剰に汗をかいてしまう場合は?
このように体温調整をするための寝汗は通常ならばごく少ない量です。寝汗による気持ちの悪さで夜に目が覚めてしまうことはありませんし、明け方に寝間着や寝具がビショビショになっていることもありません。夜目覚めたり、寝間着・寝具がビショビショになるくらい寝汗をかいていたりする場合、体温調整ではなく何らかの原因が隠れている可能性があります。過剰な寝汗の原因を次の項目で見ていきましょう。
3.過剰な寝汗の原因とは?
過剰に寝汗をかいてしまう場合、生理的な現象ではなく何らかの異常が隠れている可能性が高くなります。過剰に寝汗をかいてしまう原因には以下のようなものがあります。
3-1.多汗症
多汗症は発汗量が多くなってしまう状態です。主に起きている時に精神的な緊張やプレッシャーから、汗が多くなってしまいます。発汗する場所は手のひらや足の裏、脇が多いです。夜間に寝ている最中に悪夢などを見た結果、緊張して寝汗が過剰になってしまうことがあります。
3-2.甲状腺機能亢進症
のどぼとけのあたりにある甲状腺という器官は甲状腺ホルモンを生産しています。甲状腺ホルモンは身体の代謝を活発にする働きがあります。甲状腺に何らかの異常が現れ、甲状腺ホルモンの生産が活性化すると甲状腺機能亢進症となります。代謝が活発になるため、体温が高くなり汗をかきやすくなります。
3-3.更年期障害
女性ホルモンのバランスが崩れる更年期には自律神経のバランスが乱れ、血管の収縮や拡張がうまくコントロールすることができません。血管は体温を下げたいときに拡張し、体温を維持したいときに収縮します。これは血液が外部の温度に触れる面積を調節することで、体温を調整する働きです。しかし更年期で体温を下げたいのに血管の収縮がうまくできないと、汗を大量にかいてしまいます。
3-4.自律神経の乱れ
過度のストレスや昼夜逆転の生活などを繰り返していると、自律神経が乱れてしまいます。更年期障害と同じく、自律神経による血管の拡張と収縮のコントロールがうまく効かなくなり、大量の発汗につながります。
3-5.部屋の室温、寝間着

夏なのに冷房をつけない、冬だからと言って極端に厚着をするなどの理由で体温が上がりすぎ、発汗量が多くなることもあります。これらは異常ではないので、無理せずクーラーを使ったり適切な寝間着を着るようにしたりすることで解決します。
4.寝汗の対策とは?
寝汗自体は人間の健康に害があるものではありません。しかし汗をかきすぎた結果、気化熱で体が冷え風邪を引いてしまったり、汗の気持ち悪さで深夜に目が覚め、睡眠の質が低下したりすることはあります。寝汗を軽減するにはどのようにすればよいのでしょうか?
4-1.室温や寝間着は適切なものを
体温調整は冷暖房や衣服で行うのが基本です。体に悪そうだからと言って、夏場にクーラーを使わなかったり、冬に寝間着を重ね着したりすると体温が高くなって発汗量も増えてしまいます。なんらかの異常が原因ではない寝汗は体温調整のミスが原因であることが多いため、健康管理のためにも室温と寝間着は適切なものを選ぶようにしましょう。
4-2.寝汗がひどい場合は一度病院へ
あくまで目安ですが、寝汗で気持ち悪くなり夜何度も目が覚め着替えをする、翌朝起きたとき寝間着や寝具がビショビショになっている、というときは寝汗が過剰になりすぎています。寝汗自体は多かれ少なかれ誰でもありますが、極端に多い場合は上述したように何らかの異常が隠れている可能性があります。
寝汗はあまり深刻なものではないと捉えがちですが、寝汗の原因となっているものには健康上のリスクが大きいものが多いです。寝汗に悩んでいる場合は一度医療機関で診察を受けるようにするとよいでしょう。まずはかかりつけの内科で診察を受ければよいですが、女性であれば婦人化で診察を受けても大丈夫です。
5.まとめ
・汗にはエクリン腺とアポクリン腺がある
・寝汗の汗はエクリン腺から分泌される
・体温を下げノンレム睡眠を深くするために寝汗は必要
・ただし寝間着や寝具がビショビショになるくらいの寝汗は何らかの異常が原因のことがある
・原因としては甲状腺期の亢進症や更年期障害が考えられる
・たかが寝汗と考えず、病院で診察を受けるとよい
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