- 1.「睡眠負債」って何?
- 1-1.睡眠不足が体内で蓄積する仕組み
- 1-2.睡眠負債のセルフチェック方法
- 1-2-1.予定のない休日、何時間くらい寝坊したい?
- 1-2-2.昼間に仮眠をとるとしたら、何分で寝れる?
- 2.睡眠負債が慢性化すると…
- 2-1.集中力や注意力が落ち、パフォーマンスが低下
- 2-2.身体やこころの不調のリスクが上昇
- 3.睡眠負債を「返済」する方法
- 3-1.「寝だめ」では解消できない
- 3-2.毎日少しずつ!「返済計画」を立てて進めよう
- 3-2-1.睡眠負債の総量をチェック
- 3-2-2.一日あたり必要な睡眠時間を計算する
- 3-2-3.睡眠時間を増やして、体調の変化を観察する
- 4.まとめ
睡眠負債の返済方法

本当は怖い睡眠負債。あなたのしつこい疲れや眠気は睡眠負債が原因かもしれません。毎日のちょっとした睡眠不足の積み重ねによる眠りの借金が、身体とこころの不調の原因になることがあります。睡眠負債の自己チェック方法や解消法をご紹介します。
1.「睡眠負債」って何?
「睡眠負債」について知っていますか?
睡眠負債とは、日々のちょっとした1~2時間程度の睡眠不足が積み重なっていき、取り戻せない様子を、膨れ上がる借金に例えた言葉です。
2017年に流行語大賞にノミネートしたことをきっかけに、広く知られるようになりました。
睡眠負債の恐ろしさは、本人の気づかないうちに身体やこころの不調を招いてしまうところです。「徹夜が続いた」、「昨日は3時間しか眠れなかった」というような明らかな睡眠不足とは違い、自覚しにくいため注意が必要です。現代の日本人の多くがこの睡眠負債を抱えて生活していると言われています。
1-1.睡眠不足が体内で蓄積する仕組み
「毎朝あともう1時間眠れたら…」。
そんなちょっとした寝不足の積み重ねが睡眠負債です。一日に必要な睡眠時間は、個人差や年齢差があるものの、およそ6~8時間です。しかし本来7時間の睡眠が必要であるはずの人が、毎日5時間しか睡眠時間が確保できないとなると、足りない睡眠2時間×7日で1週間でトータル14時間の睡眠の借金をすることになるのです。睡眠不足は慣れが生じやすく、このようなちょっとした睡眠不足は日々蓄積されていきます。

1-2.睡眠負債のセルフチェック方法
自分ではなかなか気づきにくい睡眠負債。自分に睡眠負債があるのかどうかを知るために簡単なセルフチェックをしましょう。
1-2-1.予定のない休日、何時間くらい寝坊したい?
まず思い浮かべてほしいのが、予定のない休日の過ごし方です。あなたは休日に何時ごろまで寝ていたいですか?
その答えが、仕事や予定のある日の起床時間に比べて2時間以上ずれていたら、睡眠負債を抱えている可能性があります。
実際に「休日は午後まで寝ないと身体が持たない」という人もいるのではないでしょうか?
日頃、睡眠が十分足りていれば、休日でも普段と同じ時刻に自然と目が覚めるはずですが、眠りの借金を抱えている人は、休日に眠りのリバウンドが起きて多く眠ることが分かっています。
1-2-2.昼間に仮眠をとるとしたら、何分で寝れる?
次に思い浮かべてほしいのが、寝付きの時間です。昼間に仮眠をとるとしたら、何分で眠れますか?
「いつでもどこでもすぐに眠れる」というのは危険信号です。
昼間に目を閉じた途端に、眠れてしまうのは睡眠負債が溜まっていて、疲れている証拠です。目を閉じてから睡眠状態に入るまでに、15分程度はかかるのが正常で、異常に寝付きがいいのは自慢にはならないのです。
2.睡眠負債が慢性化すると…
自覚しにくい睡眠負債ですが、この状態が慢性化すると、どのようなことが起きるのでしょうか?睡眠負債による影響をみていきましょう。
2-1.集中力や注意力が落ち、パフォーマンスが低下
睡眠負債をためこむと、まず日中のパフォーマンスが低下します。記憶力、コミュニケーション能力、判断力、集中力、思考力、計算能力、モチベーションなどがすべてダウンし、何をやってもやる気が出ない、失敗するという事態に陥ってしまいます。さらに乗り物の運転でもミスを犯す危険性が高まるので十分な注意が必要です。

※参考:ダイヤモンドオンライン『経営判断を誤らせる「睡眠負債」を睡眠日誌で返済する』
2-2.身体やこころの不調のリスクが上昇
眠りの借金のつけは、身体やこころにも影響します。まず日常的に疲労が蓄積するので、身体の回復能力が追い付かなくなったり、倦怠感が続いたりします。また、外敵から身体を守る働きが弱まり、体調を崩しやすくなります。こころの面では、睡眠負債によって感情が抑えられなくなり、気分のアップダウンが激しくなることが分かっています。何をするにもモチベーションが低下しているので、嫌々こなすことになり、日常生活やコミュニケーションが億劫に感じることもあります。
3.睡眠負債を「返済」する方法
たまってしまった睡眠負債を返済する唯一の方法は、「たくさん寝ること」。残念ながらこれ以外の得策はありません。今からでも遅くない、睡眠負債を解消する方法をみていきましょう。
3-1.「寝だめ」では解消できない
たまった睡眠負債を返済しようと考えたとき、まずやってしまいがちなのが「寝だめ」です。
「仕事や予定のない休日にたくさん寝れば、これまでの睡眠負債を一気に返済できるのでは?」
と思っている人もいるかもしれません。しかし、残念ながら寝だめでは睡眠負債を解消することはできないのです。
平日は4~5時間しか眠れていないのに、休日だけ10時間あるいはそれ以上眠ってしまうことは、生活リズムの乱れにつながり、身体に負担がかかってしまいます。一度崩れた睡眠リズムを立て直すためには、また時間がかかるので、おすすめできません。
非常にシンプルなことですが、借金返済と同じように、一気に返済しようとすると必ず無理が生じてしまいます。
3-2.毎日少しずつ!「返済計画」を立てて進めよう
睡眠負債をスッキリ返済するためには、借金返済と同じように、まずは現在の自分自身の負債状況を知ることが大切です。自身の睡眠の状態を把握し、眠りの返済計画を立ててみましょう。これまで毎日1時間ずつ積み重ねてきた眠りの借金は、これから毎日1時間ずつ多く眠ることで、計画的に継続して取り戻していくことが理想的です。
3-2-1.睡眠負債の総量をチェック
自分自身に、いま睡眠負債はあるのか?あるとすればどの程度の負債がたまっているのか?まずは、これを知るために、睡眠負債状況のチェックをしてみましょう。本格的に調べるためには、専用の施設で数日間かけて睡眠リズムを観察する必要がありますが、簡易なチェックの場合は自宅で行うこともできます。
翌日に仕事や外出など、何も予定のない日をチェック日にします。朝日が入らないよう部屋を完全に遮光して、アラーム類もすべてOFFにしてから就寝します。そして目が覚めるまで眠りたいだけ眠り、睡眠の合計時間を出します。この合計時間が普段の睡眠時間よりも長い場合は、睡眠負債がたまっている証拠です。特に3時間以上長く眠ってしまったという人は、かなり睡眠負債がたまっていると考えられます。

3-2-2.一日あたり必要な睡眠時間を計算する
睡眠負債の有無をテストする方法と同じ方法を使って、自分にとって本来必要な睡眠時間も算出できます。ただし、このテストは1週間かかるので、大型連休や年末年始などのまとまった休みを利用して行います。
完全に遮光し、アラームもOFFにした個室内で、眠りたいだけ眠ることを数日続けます。睡眠負債がある場合、初めの数日は、日頃の睡眠不足分を貪るように睡眠時間が長くなりますが、そのあとはだんだん睡眠時間が短縮していきます。テストが終わる頃には、おおよそ同じ睡眠時間で目覚めるようにリズムができており、このときの睡眠時間が、自分に本来最適な睡眠時間です。
3-2-3.睡眠時間を増やして、体調の変化を観察する
自分に本来最適な睡眠時間が分かったら、それにできるだけ近づけるように睡眠時間を増やす工夫をします。これまで必要な睡眠時間に対して、一日あたり2時間不足している人なら、1時間早く寝て、1時間遅く起きる生活サイクルをつくると理想的です。理想的な状態を一定期間続けてみて、体調や気持ちの変化を実感してみましょう。平日の睡眠時間と、休日に自然に目が覚める時間がほぼ同じになれば、それが自分の最適な生活リズムということです。
4.まとめ
ちょっとした睡眠不足が続くことでたまっていく睡眠負債。忙しい生活の中で、最適な睡眠時間を確保し、睡眠負債を返済していくためには毎日の積み重ねが必要です。まずは自分の睡眠負債をチェックし、日々の生活を見直してみましょう。
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