腰に負担がかかりにくい寝方とは? 腰の痛みと寝姿勢の関係から解説

皆さん、寝るときはどのような姿勢で寝ていますか?
寝ているときはどうしても腰に負担が掛かってしまうもの。寝方によっては腰痛が悪化してしまう場合もあります。睡眠中の腰の痛みが気になるときは、どのような姿勢で寝るのが最適なのでしょうか?
本記事では、腰の痛みと寝姿勢の関係を解説します。軽減する方法や対処法も紹介しているので、腰痛でお悩みの方はぜひ最後までお読みください。
1.寝姿勢と腰の痛みの関係
寝ている間は全身リラックスしているように見えて、実は腰に体重の負担が掛かっています。「起きてみると痛みが発生していた」という経験がある人も多いのではないでしょうか?
これは寝ている際に、体重や筋肉の重さが腰に集中して、負担がかかっているからです。寝姿勢によって錘となる部位は異なるため、腰への負担の掛かり方が違います。
本章では仰向け寝、うつぶせ寝、横向き寝それぞれの腰の痛みとの関係を解説します。
1-1.仰向け寝でも筋力不足・反り腰で腰痛になる場合がある
仰向け寝は腰への負担が一番少ない寝方だと考えられています。しかし腰の周囲には内臓が多く、仰向けで寝ると体重が腰周囲の筋肉や骨などに掛かります。仰向けで寝ているときはなんと、体重の40%から50%弱の重さが腰への負担になるとも言われています。
腰に負担が掛かることで、腰周囲の血管が圧迫されます。すると痛みを伝える神経伝達物質が生じ、睡眠中の腰の痛みが発生します。寝返りなどを打てば、体重の負担は分散されるため寝ていても腰の痛みはそこまで大きくなりません。しかし筋力不足などで寝返りが十分に打てないと体重の負担が腰ばかりに集中し、睡眠時の腰の痛みの原因となります。
また女性に多い反り腰も、睡眠時の腰の痛みの原因です。反り腰だと腰とマットレスの間に隙間が生じてしまい、腰を支えるものがなくなります。腰の負担がさらに大きくなるため、睡眠時の痛みも強くなります。
1-2.横向き寝は腰椎に負担が掛かりやすい

横向きの姿勢で眠ると、マットレスに接している面積が仰向けで寝たときよりも少ないので、体に掛かる負担も大きくなります。そのため腰椎に負担が掛かり睡眠時の腰の痛みを強くします。
仰向け寝で眠るときと同じく、適切に寝返りを打てば腰への負担を軽減させることが可能です。しかし筋力やマットレスの問題で適切な回数の寝返りを打てないと、寝ている時に腰が痛くなっていきます。
1-3.うつぶせ寝は腰痛が悪化する原因に
うつぶせ寝は腰が反ってしまうため、睡眠時の腰に不安がある人には適さない寝姿勢と言われています。うつ伏せの場合、腰椎が反りかえった状態となります。腰椎が反ると寝ている時の腰への負担が大きくなるため、睡眠時の痛みが強くなる傾向にあります。仰向け寝や横向き寝と異なり、支えを作ることもできないため、対策のしようもありません。
ただしうつぶせ寝で睡眠時に腰の痛みがない人にとっては問題ない寝姿勢ですし、人によってはむしろ睡眠時の腰の痛みが楽になることがあります。さらに痰などをすぐに吐き出せるため、誤嚥(気道内に飲み込んでしまうこと)を防ぐことができる点はうつぶせ寝のメリットです。
ここまででは腰痛が悪化してしまう寝方について解説してきましたが、仰向け寝、横向き寝、うつぶせ寝、それぞれの寝姿勢には一長一短があります。基本的には自分が一番寝やすい姿勢を選んで、睡眠時に腰の痛みが生じているときは腰部への負担を軽減する対策を取るとよいでしょう。
2.腰痛を軽減させる寝方
睡眠時に腰の痛みがあるとき、それぞれの寝姿勢で腰への負担を軽減させるにはどのような点に気を付ければよいのでしょうか?
本項では仰向け寝と横向き寝の場合の、腰痛を軽減できる寝方を解説します。
2-1.仰向け寝の場合
仰向け寝は腰への負担が少ない寝方だと考えられていますが、腰が痛くなってしまう人は腰が反っている人です。腰とマットレスの間に隙間ができて、支えがなくなってしまうからです。仰向け寝で腰への負担を軽減するにはこの隙間を埋めることができる、フィット感のある寝具を選ぶようにしましょう。
また、簡単な方法で驚かれるかもしれませんが、腰が反って負担が掛かり睡眠時に痛むとき、仰向け寝の場合は膝を立てることが有効です。膝を立てると腰が丸まり反りが柔らかくなります。その分、腰部への負担は少なくなり睡眠時の痛みを生じることが少なくなります。自分で膝を立てて眠っても大丈夫ですが、おすすめはクッションのようなものを膝下に入れることです。自然と膝を立てた状態になるため、楽に腰部への負担を軽減することができます。
ただし仰向けでの場合、寝ている間に舌が喉のほうに落ちることで気道が狭くなりやすいです。いびきをかきやすくなりますし、睡眠時無呼吸症候群の場合、気道が閉塞してしまうこともあります。いびきに悩んでいる人は横向き寝のほうが適していることもあります。
関連:寝相が悪い原因とは?身体のサインや影響、適切な対処法を紹介
2-2.横向き寝の場合
横向き寝の姿勢が楽だという人もいると思います。横向き寝で眠りたいときは腰椎部分に支えを作る必要があります。支えを作ることで体重の負担が地面へ逃げるようになり、寝ている時の腰部への負担も軽減されます。横向きで眠る際にはタオルなどを折り曲げて、腰のウエスト部に敷くとよいでしょう。
仰向け寝とは異なり、横向き寝は気道が十分に確保されやすいためいびきが少なくなります。睡眠時無呼吸症候群に悩んでいる人も状態が軽くなることがあります。ただし腰だけではなく肩や腕に負担が掛かりやすいため、そちらに睡眠時痛みやしびれが生じることもあります。
3.寝ている時の腰の痛みを軽減する方法
前項では、腰痛を軽減できる寝方を解説してきましたが、寝方だけでなく就寝環境を整えることでも、痛みを軽減することは可能です。就寝環境を整えることで、寝返りが打ちやすくなるため、腰への集中的な負担を避けることができます。
本項では就寝環境を整え、寝ている時の腰の痛みを軽減する4つの対策を紹介します。
就寝時に腰痛を軽減できる方法
・自身の寝方に最適な寝具を選ぶ
・できれば添い寝は避ける
・摩擦係数の少ない寝間着を着る
・冷え性対策をする
3-1.良い寝具を選ぶことも重要
睡眠時の腰への負担を軽減し、痛みを和らげるにはよい寝具を選ぶことが大切です。中でもマットレスと枕が特に重要です。ここではマットレスと枕を重視すべき理由や選び方について紹介します。
3-1-1.自身の寝方に最適なマットレスを選ぶ
起床時の腰の痛みに悩まされている人は、寝返りが少ない人が多いです。寝ている間に適度に寝返りを打たないと、睡眠中に負担が腰に集中するため筋肉が疲労しやすいためです。寝返りの少ない人は硬めの高反発のマットレスを使用するとよいでしょう。適度な硬さが反発力になって、スムーズな寝返りをサポートしてくれます。ただし寝心地としては硬いので、「柔らかい寝心地が好き」という人には合わないでしょう。
柔らかい寝心地が好きな人には低反発マットレスがおすすめです。低反発マットレスは「体圧分散性」が高いことが特徴です。体圧分散性とは特定の部位に集中しがちな体重を全身に分散させることで、負担を軽減させる性能のことを言います。低反発マットレスはフィット感が高く、寝心地も柔らかいため、柔らかい寝心地が好きな人におすすめです。
関連:高反発マットレスを使う2つのメリットと睡眠時に腰が痛くなる原因
3-1-2.自身の寝方に最適な枕を合わせる
睡眠中の腰の痛みの軽減には枕も重要です。寝ている間の理想的な姿勢は、直立した姿勢がそのまま横になった状態です。
枕が高すぎたり、低すぎたりすると頸椎に負担が掛かります。頸椎は腰周辺までつながっているため、枕の高さが合わずゆがんでしまうと腰にも影響が現れます。睡眠中の腰の痛みに悩んでいる人は、よい枕を使うようにしましょう。
関連:枕が高すぎるとどうなるの?体に与える影響と自分に合った枕の選び方
関連:低反発枕と高反発枕はどちらがいいの?最適な選び方、ポイントを解説
3-2.できれば添い寝は避ける
腰に痛みを感じる場合、できれば同じベッドで誰かと眠るのは避けたほうがよいでしょう。キングサイズやクイーンサイズのベッドを用意できるのなら別ですが、通常のダブル程度のベッドだと、誰かと眠ることで寝返りが打ちづらくなることもあります。個々人のライフスタイルにもよりますが、できるだけ誰かと一緒に眠ることは避けるようにしましょう。
ちなみに添い寝は人間だけが対象ではありません。ペットなど明らかに人間よりも小さい生き物と添い寝した場合も無意識的に寝返りが打ちづらくなります。また壁がベッドから近かったり、大きいぬいぐるみなどがあっても寝返りが打ちづらくなります。寝返りを就寝中にきちんとできている人は、睡眠中の腰の痛みが生じにくいです。
3-3.摩擦係数の少ない寝間着を着る
摩擦係数が大きい寝間着を着ていると、寝返りが打ちづらくなると言われています。できるだけ摩擦係数の少ない寝間着を着るようにするとよいでしょう。摩擦係数の少ない素材はシルクや麻、綿です。またできるだけ通気性のよい寝間着を着ると、快適に眠ることができるでしょう。
3-4.冷え性対策をする
体が寒さを感じると血管が収縮して、血流が悪くなり起床時の腰の痛みの一つの要因となりえます。起床時の腰の痛みを軽減するのに冷え性対策するのも大切です。人間の体温は筋肉で作られるため、痩せ型の体型の人は自然と寒さを感じやすくなります。そのため、筋肉をある程度つけるために運動習慣をつけるとよいでしょう。
筋肉をつけるからと言って、筋力トレーニングを行う必要はありません。まずはウォーキングから始めて、徐々にジョギングやランニングなどの強度の高い運動に移行していきましょう。有酸素運動でも数か月続ければ、筋肉量を増やすことができます。筋力トレーニングの筋肉とは異なり、肥大しにくい筋肉なのでスタイルの変化もあまり気になりません。
4.まとめ|自分に最適な寝方を見つけて、腰痛を軽減しよう!
仰向け寝、横向き寝、うつぶせ寝、それぞれの寝姿勢には一長一短があります。基本的には自分が一番寝やすい姿勢を選んで、睡眠時に腰の痛みが生じているときは腰部への負担を軽減する対策を取るとよいでしょう。
仰向けの場合には反り腰にならないように膝を立てること、横向きで眠る際にはタオルなどを腰のウエスト部に敷いて、腰部に負担がかからないように意識すると良いでしょう。腰痛で悩まれている方は、是非試してみてください。
アクセスランキング
睡眠の悩みから記事を探す
※本記事で提供する情報の閲覧、収集、利用等については、閲覧者様ご自身の責任において行っていただくものとし、万一閲覧者様に何らか損失、損害、その他不利益が生じた場合においても、当社は一切の責任を負いません。
※本記事で提供する情報は、診療行為、治療行為、その他一切の医療行為を目的とするものではなく、特定の効能・効果を保証したり、あるいは否定したりするものではありません。
※本記事で提供される情報は、あくまで一般論であり、特定の商品を推薦・推奨するものではなく、またその効果を保証するものではありません。
※閲覧者様が、ご自身の医療上の問題の解決を図りたい場合は、医師や専門家等に相談の上、適切な医療機関をご受診ください。