どう違う?気になる脂肪とじゃまなぜい肉

どう違う?気になる脂肪とじゃまなぜい肉

脂肪とぜい肉はどう違うのでしょうか。今回は、前半で脂肪とぜい肉の違いや脂肪細胞の役割など、脂肪について詳しく紹介します。後半では、ぜい肉を増やさないために気を付けたい生活習慣についてご紹介するので、普段の生活に取り入れ、ぜい肉の悩みを解消しましょう。

目次

1.どう違う?脂肪とぜい肉

「脂肪」と「ぜい肉」同じような意味で何気なく使っている言葉だと思いますが、厳密には異なるものを指します。ここでは、「脂肪」と「ぜい肉」の違いと脂肪の役割について紹介します。

1-1.必要なものと余分なもの

「脂肪」と「ぜい肉」は、どちらも同じ脂肪です。しかし、「脂肪」とは「体の全ての脂肪」のことを指しており、人間が「生きていくうえで必要な脂肪」と「生きていくうえで必要のない脂肪」の両方を指しています。これに対し、「ぜい肉」は「生きていくうえで必要のない脂肪」です。つまり、「脂肪」には「必要な脂肪」と「余分な脂肪」があり、「ぜい肉」は「余分な脂肪」のみを指しています。

1-2.なくてはならない脂肪

脂肪はどんな人でも必ず体についています。それは、脂肪には体に必要な役割があるからです。脂肪には、体温の保持、エネルギーの貯蔵、衝撃を和らげるクッション、内臓の位置を保つ、ホルモンや細胞膜の構成、ビタミン類の吸収を促すなど、他にもたくさんの役割があり、人が生きていくためになくてはならないものなのです。

1-3.皮下脂肪と内臓脂肪

脂肪には皮膚の下につく「皮下脂肪」と内臓の周りにつく「内臓脂肪」があります。皮下脂肪は「つきにくく、落としにくい」と言われ、女性につきやすいという特徴があります。内臓脂肪は「つきやすく、落としやすい」と言われ、男性につきやすいという特徴があります。皮下脂肪が増えると、膝や腰など整形外科的疾患のリスクが高まり、一方、内臓脂肪が増えると生活習慣病のリスクが高まります。そのため、どちらの脂肪も過剰につかないようにすることが健康のために大切です。

1-4.脂肪組織の役割

脂肪組織は主に脂肪細胞で構成されており、大きく分けて白色脂肪組織と褐色脂肪組織があります。詳しくは後述しますが、白色脂肪組織は過剰なエネルギーを蓄積するのに対し、褐色脂肪組織はエネルギーを消費するという役割があります。

2.脂肪細胞の役割分担

脂肪組織を構成する白色脂肪細胞と褐色脂肪細胞について、その役割や特徴について紹介します。

2-1.脂肪をため込む白色脂肪細胞

白色脂肪細胞は、普段わたしたちが「脂肪」と呼んでいるものです。白色脂肪細胞は、中性脂肪などの脂質や糖を取り込み、エネルギーとして蓄えます。エネルギーを蓄えた白色脂肪細胞は球体に膨らみ、イクラのような見た目になります。つまり、一般的な「脂肪」とは、中性脂肪を蓄えた白色脂肪細胞のことを指しているのです。

2-2.脂肪を燃やす褐色脂肪細胞

これに対して褐色脂肪細胞は、脂肪を分解し、熱を産生することで体温の調節をします。鉄分を含むため、色は褐色です。褐色脂肪細胞は赤ちゃんの頃に多く存在し、生命維持を図りますが、成長とともに骨格筋が基礎代謝の役割を担うようになるにつれ、あまり機能しなくなります。

2-3.白は増えるが褐色は増やせない

白色脂肪細胞は全身に広く分布し、その数は思春期にグッと増え、成人の頃には約400億個になると言われています。さらに、存在する白色脂肪細胞が脂肪でいっぱいになると細胞の数を増やすので、肥満者の白色脂肪細胞は約800億個にもなるといわれています。これに対して褐色脂肪細胞は、成人以降、加齢により減少していきます。特に40歳以降は褐色脂肪細胞が顕著に減少するため、これが中年太りの原因になっているともいわれています。

2-4.褐色脂肪細胞を活性化するには

褐色脂肪細胞が機能しなくなったり、減少したりすると、ぜい肉がつきやすくなるだけでなく、生活習慣病やメタボリックシンドロームの原因にもなります。褐色脂肪細胞は、特に寒い環境下で活性化し、体温が下がりすぎないよう熱を産生します。褐色脂肪細胞を活性化させるための方法の一つに、首に寒冷刺激を与えるという方法があります。やり方は熱中症対策用のアイスベルトなどを首に巻くだけです。ただし、体の冷やし過ぎは体に良くないため、一日2時間を限度とし、無理のない程度に留めましょう。

脂肪の種類のイメージ

3.ぜい肉を増やさないための生活習慣

ぜい肉を増やさないようにするためには、日頃の生活習慣から工夫をすることが大切です。ここでは、ぜい肉予防のために生活に取り入れたい習慣を紹介します。

3-1.やせホルモンを増やす食事術

脂肪細胞から分泌される生理活性物質(体の生理的作用を調節する化学物質)の一つに「アディポネクチン」という善玉物質があります。アディポネクチンは主に動脈硬化や糖尿病を防ぐ役割をしますが、脂肪を燃焼させる働きもあるため、俗に「やせホルモン」と言われることもあります。この物質の分泌を高めるためには、毎日の食事が重要です。大豆たんぱくに含まれるβコングリシニンや青魚に含まれるEPAはアディポネクチンを増やすといわれています。豆腐(木綿・絹ごし・高野)やアジ・サバ・サンマなどを積極的に摂取しましょう。

アディポネクチンの作用イメージ

3-2.有酸素運動は続けることが大事

運動の中でも特に脂肪の燃焼に効果的なのは、有酸素運動です。軽~中程度の負荷をかけて長時間継続して運動を行うことによって、酸素を取り込みながら脂肪を分解することができます。この働きを引き出し、脂肪燃焼効果を得るためには、続けることがポイントです。ウォーキングやジョギング、サイクリングや水泳などを、無理のないペースで一日に合計20分間以上、週に3~5回、継続して行いましょう。

3-3.脂肪細胞で食欲を抑える

脂肪細胞からは食欲を抑える働きのある「レプチン」というホルモンが分泌されます。レプチンは、体脂肪量が増えるほど食欲を抑え、脂肪を減少させようと働き、反対に体脂肪量が減るほど食欲を増加し、脂肪を増加させようと働きます。このようにレプチンは食欲をコントロールして、適正な体重を維持するのに役立つ物質です。しかし、体脂肪量が過剰な人は、レプチンがうまく機能しなくなるレプチン抵抗性があるため、食欲を抑えることができずに脂肪増加につながっていると考えられます。この場合は、食事の量や回数を無理に減らすのではなく、「就寝時間の3時間前までに夕食を済ませ、夕食後は水かお茶のみで過ごす」ようにしましょう。活動している時間帯に食べる時間帯をシフトすることで、レプチン抵抗性の改善が期待できます。

レプチンの働き

3-4.立っている時間を増やす

人は、「基礎代謝」「食事による熱産生」「身体活動」の3つによって、エネルギーを消費します。このうち、「身体活動」によるエネルギー消費は、「運動」と「運動以外の活動(家事など)」の2つに分けられ、「基礎代謝」や「食事による熱産生」に比べ、個人の意識によってコントロールしやすいです。肥満者と非肥満者では、歩行なども含めた立位による活動時間が平均で一日約150分の差があったという報告もあります。つまり、なるべく座っている時間を減らし、立っている時間を増やすことが、ぜい肉予防のポイントとなります。

4.【まとめ】ぜい肉を増やさないための生活習慣を

今回は、脂肪とぜい肉の違いや脂肪細胞の役割、ぜい肉を増やさないために気を付けたい生活習慣などを紹介しました。脂肪は体にとって必要なものですが、ぜい肉は生活習慣病やその他の疾病など、健康を脅かす可能性を高めます。余分な脂肪を増やさないためにも、自身の食習慣・運動習慣などの生活習慣を今一度見直し、不要なぜい肉のない、健康的でスッキリとした体を手に入れましょう。

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